アメリカが大物テロリストを攻撃する冒頭のシーンや、ジェリーに双子の兄がいて直前に事故死していることなどが、謎解きの布石として効いてくるのが痛快。
男女2人の逃走劇だが、下手なラブストーリーにならないのもいい。
アメリカ批判もあるサスペンスアクション。巨匠たちへのオマージュも目白押し!
テロリストと間違えられ、FBIから追われることになった若者ジェリー。幼い息子を殺すと脅迫され、彼の逃亡を手助けさせられるシングルマザーの熟女レイチェル。
『イーグル・アイ』は、縁もゆかりもない2人が、携帯電話で指令を発する謎の熟女女性の声に操られ、目的も理由もわからぬままに命がけの逃亡を続けるサスペンスアクションだ。
その声の主はジェリーとレイチェルの個人情報をすべて把握し、コンピュータと電波に関する機器を自在にコントロールできる。
電車を逆走させ、信号を混乱させ、爆撃機を無人のまま操縦。携帯を捨てても、ATM、監視カメラ、電光掲示板、GPSを使って、2人の行動を徹底的に監視し、動かしていくのだ。
この声の熟女は何者なのか。FBIも知らない国家規模の陰謀が進行しているのか。
考える暇もヒントも与えないまま、すさまじいスピードで逃走と追撃が続けられ、デジタル・テクノロジーの脅威が体中に染み込んでいく。
ボタン一つで、ワシントンから中東の砂漠にいる人間を狙撃できる時代、Google Earthで自分の家を空中から見られる時代だからこそ、リアルな恐怖を感じさせる。
製作、監督、主演は、ヒッチコックの『裏窓』をリメイクした『ディスタービア』と同じトリオ。今回もヒッチコックのネタをいくつか使ってファンをニヤリとさせてくれる。
無実の罪で追われながら真相を追っていく構造は『北北西に進路を取れ』だし、犯行の実行が音楽の演奏に関係しているのは『知りすぎた男』だ。
キューブリックのあの不朽の名作とも類似項があるのだが、ネタばらしになるのでタイトルは秘密。
常に仮想敵を想定し過剰な防衛に明け暮れるアメリカ批判も読み取れる、技ありの一本だ。
全米でベストセラーの『ティファニーで子育てを』を、『アメリカン・スプレンダー』のシャリ・スプリンガー・バーマンとロバート・ブメルチーニのコンビが映画化。
どんな仕事に就こうが、人間関係でムカついたり、将来を考えると不安になったり、迷ったり…。
誰もが一つや二つ悩みもあれば、ブチキレることだってある。
このちょっと風変わりなタイトルの映画は、ひょんなことから、ニューヨークの熟女セレブ家庭で子守をする”ナニー”として働くことになった女性の悪戦苦闘を描いたコメディ。
大学を卒業後、就職試験に失敗したものの、憧れていたマンハッタンの高級アパートに住んで社会勉強になればと思って働き始めるが、現実はわがままな子供と鬼のような熟女マダムに振り回されるハメになる。
次第にわかっていく熟女セレブ家庭の虚飾に満ちた生活。まるで”家政婦は見た”のNY版とでも言いたくなる役どころを演じるのはスカーレット・ヨハンソン。
いつもの小悪魔ぶりは封印して、今回は自分探し真っ只中のごく普通の女の子を演じて、少年の寂しさと向き合ったり、タカビーな熟女マダムの孤独で壊れそうな心を見て成長していくなど、女子には共感度のとっても高い作品だ。
クライマックスにヒロインがキレるシーンは日頃、会社で不満を抱えている熟女女子ならば、溜飲が下がりそう。
つーか、彼女がテディベア好きなら、とりあえず連れてけー。絶対にウケるはず!
両親が経営する宝石店の強盗計画を実行しようとする兄弟。完全犯罪を狙う2人に最悪の誤算が生じ、彼らは追い詰められていく。
『その土曜日、7時58分』という変なタイトルの映画。シドニー・ルメット監督の作品だ。
40年くらい前、私がまだ20歳で、自称映画青年だった頃、ある映画館で『質屋』と『異邦人』の2本立てを観た。2本立てというのは、今考えると厳しいものがある。一方の映画が面白いと、もう一方はつまらなく思えるものなのだ。
そのときの私は、圧倒的にヴィスコンティの『異邦人』が面白く、『質屋』は退屈でつまらない映画に思えたものである。
その『質屋』の監督がルメットだった。そして、私の頭の中には、彼はつまらない作品をつくるとインプットされてしまった。
そんなルメット監督が、なんと84歳になって『その土曜日?』を撮ったという。そこで、私は、40年ぶりに彼の作品を観た。
その感想は、とにかく懐かしい映画を観た気がした。
それは昔、貸本マンガで読んだサスペンス劇画な感じだった。とても面白かったのだ。
強盗映画なんだけど、強盗する側にも切羽詰った理由があり、そんなに悪い人間ではない。
だから強盗される側に損を受けることがないのを確認して盗みに入る。人情味に溢れた強盗だったのだ。
しかし、やはり強盗は許されないのだよ、と監督は主張する。一つの間違いから計画は狂い、強盗した兄弟は追い詰められていく。彼らの犯した小さな失敗から犯行がバレるのだ。
完全犯罪のつもりが、いろんなところに欠陥があることを映画を観ている我々も気づいて、ドキドキさせてくれる。
タイトルを聞いたとき、何かサスペンスが盛り上がりそうな感じがしたが、最後まで本当に面白く観れた。
そして観終わって思った。実は、ルメットの映画は、凄くよかったんだなあと。